舞姫 問題 - 100年以上もの間「クズ男」と非難され続けた『舞姫』の豊太郎を擁護する #2_1｜光文社新書

鴎外は、エリスに対する否定的評価には関心を示さなかった。

では、恋愛の中のどんなテーマが主題となっているか？ ここが考えどころです。

問１ a 放言の意味（１０字以内）と、b 厭の読みと、空欄 cに文意が通るよう漢数字を記しなさい。

いや、むしろ、実際にエリスが来日しているわけであるから、その噂が広がるよりも、鷗外がドイツに女性を捨ててきたのだという「噂」が広がった方が好都合である、このような判断であったのではないか。

「舞姫」という題は、豊太郎にとってエリスとの関係をどのように処理すべきかが主な関心であることからすれば、適切な題である。

もちろん、鴎外自身の資料、とくに｢エリーゼ来日事件｣に関して残されている唯一の客観的資料、一〇月一四日付の｢賀古鶴所宛書簡｣は重要である。

一月上旬の夜なれば、ウンテル・デン・リンデンの酒家・茶店はなほ人の出入り盛りにて、にぎはしかりしならめど、ふつに覚えず。

そしてもう1通は、その母の死を伝える親族からの手紙です。

「舞姫」発表前から、軍関係者やドイツ留学生仲間のなかには、エリーゼをめぐる、さまざまな「噂」が存在したに相違ない。

でも、深読みしすぎではありませんか。

そうであれば、作家・鷗外にとって、エリーゼの存在は重要な意味をもっている。

このような３つの市場は ・お互いを中期保有しようとするのが「恋愛市場」 ・長期保有を原則とするのが「結婚市場」 ・一夜の関係のように短期保有するのが「浮気市場」 というふうに分類できます。

時代と個人の拮抗、豊太郎の葛藤に何とも言えない気持ちになるラストです。

天方伯に気に入られる ある日、豊太郎のもとへ相沢から、「天方伯が会いたがっている」という知らせが届きます。