せっかくやし、この4人でパーティー組んで登ろうやないか。
レゲエマンの言葉にみなが黙り始めたとき、雪渓の上から何かが勢いよく滑り降りてきた。
ボクは空を見上げた。
他の者も撃ちかねている間に、ヒグマは山へと逃げ帰った。
遠すぎるためさほど恐怖は感じないが、それとは対照的に今しがた隊長が襲われた際の獰猛な唸り声が、頭のなかをしつこくこだましていた。
ふと、ヒグマが首をもたげた。
北海道のフィールドを歩く皆さん、どうか、クマにはご注意を。
また、アラスカでは野道で野生のヒグマ(グリズリー)にあった時に、道を開けると目の前をヒグマがのっそり歩いていきます。
しかし、すべてはやぶの向こう。
このパーティの登山届は、事前に警察に提出されていたため、異常事態は発覚していた。
そのクソ度胸はヒグマに見せたいのか、我々に披露しているのかよく分からないが、時間がかかってはた迷惑でしかない。
慌てるでねぇぞ」 隊長はおもむろにリュックのなかを探し始めた。
そのうち、クマがテントの布に鼻を押し付けては激しく臭いを嗅ぐ、という行動を始める。
ABCDは中級者であり、Eは今年山を登り始めた初級者。
先ほどの鍋のせいだろうか。
新潟県加茂市・粟ヶ岳県民休養地(左)。
と、ふいに前方のやぶがワサワサと揺れ、草の間から何かが勢いよく転がってきた。
どの辺りで目撃したか尋ねると、ここから 100メートルもないと呑気に答え、しかも雪渓の方へ向かっていたと言う。
ただ、やぶが深すぎて前を歩く登山者の姿はまったく見えない。
実は映画でも母熊がその気配を表すよりも前に、グラスはその存在に思い至っていたようだが時既に遅し。
必死の思いでプレデター倒したと思ったら宇宙船と仲間が出て来るやつ。
どうやら別の登山道から来たらしいのだが、奇妙ないでたちが目を引いた。
隊長が事情を説明すると、チャラい青年は「マジで? 2頭もいんじゃんかよ!」と叫ぶなり、しゃがんでソフトボールほどの雪玉をつくった。
(神村正史) 朝日新聞 2008年7月21日3時0分 人間が素手で熊を撃退するという話もたまに聞きますよね。